2014/03/06

let it go

長い文章を久し振りに書きます。

ディズニーアニメーション「アナと雪の女王」。嫁と娘の影響で毎日Trailerを見てます。アカデミー賞を獲ったせいか、前売りチケットが売り切れ気味らしい。
私も主題歌にハマってしまった。いい曲だ。
しかし、歌詞の日本語訳がどうにもしっくりこない。
音の数と、口の動きと、もちろん歌詞の意味と映画の内容と、全部を合わせなくてはならない。並大抵の事ではない。そして歌ってるMay Jも松たか子も勿論上手。
振り返ると、ラプンツェルはそんなことなかった。この違いはなんだろうか。
音の密度なんじゃないかと思った。
フレーズ当たりの音の数、即ち音の密度が多い程、言葉の選択肢が多いのではなかろうか。そしてより自然な言葉を選べる、と。
ラプンツェルの主題歌は、単語を並べて情景を描くタイプ。それに対してアナと雪の女王の主題歌は、シンプルな言葉での明喩と暗喩を上手く使って心象を描くタイプ。
アテレコを伴う日本語訳は、前者の方が断然やりやすいのだろう。
日本語と英語の一番の違いは、表意文字を使ってるか、表音文字を使ってるかだと私は思っている。短い音で表現するには、よりシステマティックな表音文字の英語が有利なのか。
いや、そんなはずはない。日本語は17音で十分に情景や心象を表せるはずなのだ。
歌詞に比喩が使われていると「難しい」「分からない」と言われて売れない、という噂も聞く。「大好き」「逢いたくて震える」でないとダメなのだそうだ。"i love you"を「月が綺麗ですね」と訳してはダメなのだろう。
日本語訳の歌詞で一番好きなフレーズは、"the cold never bothered me anyway"を「少しも寒くないわ」と訳している所なのだが、これを「雪の女王だから寒さに強いんだな」と思われては、それこそ震えが止まらないのである。
なるべく直接的な表現をあえて使っているので、私のようなジジイにはどうもしっくり来ないのか。
いっそのこと、文語体に訳せばいいのに、と思う。
ちょっと考えてみたのだが、まるで演歌になってしまった。そうではない。目指すは昭和ではなく、明治なのだ。
一番難しいのは、曲のタイトルでもある"let it go"だろう。
曲では必ず2回続けてフレーズになっているので、日本語訳では6音の「ありのままで」としている。これがしっくりこないし、難しい。考えれば考えるほど、訳者の苦労が見えてくる。
ニュアンスとしては、ありのままでは大人しすぎて、もっとさらけ出すとか、やってやるぜ感が欲しい。そしてそれは3文字の言葉で、母音が「eio」であることが望ましく、そしてかつ何よりも、大声で歌っても恥ずかしくない言葉が欲しいのだ。そんなのあるか!
私が考えたのは、全編通して雪の比喩を用いているのが特徴の歌詞ということもあり、そして必ずしも訳す必要もないということで、
「雪よ」
演歌か!

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